小中学生不登校全国12万2940人速報値
5年ぶりの増加中学生不登校1学級に1人過去最高に…
いじめ回避が一因か
中学生の不登校の割合が昨年度、4年ぶりに増加した。不登校をめぐり、小学校と中学校のギャップを改めて考えたい。 ◆カギ握る小中連携 “予備軍”把握、すばやく対応 文部科学省によると、昨年度に30日以上学校を休んだ不登校の小中学生は、約12万2000人だった。小学生は約2万2700人、中学生は約9万9500人となる。実数は4年連続で減ったが、少子化が続いているため、減るのはある意味で当然だ。
全児童生徒数に対する不登校児の割合(出現率)で見ると、小学生は0・32%(317人に1人)で前年度と同率、中学生は2・75%(36人に1人)で0・02ポイント上がった。
なぜ中学生の不登校の率が増加したのか。一概には言えないが、都道府県で増減にかなりの差がある。小学校から中学校に進学する際のギャップに注目し、中学生の不登校を大きく減らした大阪府の取り組みに、ヒントが隠されている。大阪府は、全都道府県で不登校児が最も多いが、中学生は8258人で、前年度より466人減った。
その理由の一つとして、大阪府教委は、小学校での“予備軍”に注目したことを挙げる。中学校1年から不登校になる生徒の半分以上が、小学校時代から欠席が目立ったり、登校しても保健室で過ごす「保健室登校」をしたりと、不登校の兆候を見せていたからだ。統計に表れない子供たちにも目を向けたわけだ。
こうした子供たちを中学校入学時に把握しておき、数日間欠席するなどの兆候が出たら、すぐにチームを組んで、どういう支援が必要かを検討する体制を取るようにする。府教委では、市町村教委を通して現場にこう指導した。
さらに、不登校の多い中学校を対象にして、緊急対策事業として地域の人たちに「不登校支援協力員」を委嘱、家庭訪問などをしてもらった。こうしたきめ細かい対策が功を奏したと見られる。
実は、小学校時代にすでに兆候が見られるという傾向は、国立教育政策研究所が3年前にまとめた「中1不登校生徒調査」ではっきり表れている。小学校で不登校傾向のある子は、中1の当初から欠席が目立ち、経験がない場合は、夏休み明けがカギを握るという結果が出たのだ。大阪府教委も、不登校対策を考える上で、この調査結果に注目したという。
では、ほかの県でもなぜ、同じように成果が上がらないのか。この点について、府教委児童生徒支援課は「府教委から市町村教委、市町村教委から学校へと浸透させるには、かなり積極的な働きかけが必要だった」と振り返る。
一方、大阪府とは対照的に、不登校児の数で今回、東京都を上回り、大阪府に次ぐ数となったのが神奈川県だ。中学校で327人増え、3・45%という出現率では、大阪府を上回った。
「すべての中学校へのスクールカウンセラー配置を昨年度で終えたところなので、がく然としている。“中1ギャップ対策”や小中学校の連携に本腰を入れ、未然防止策を考えたい」と県教委児童生徒指導室。
不登校はもともと、小学生から中学校になる段階で3倍前後になると言われる。学級担任制から教科担任制に変わるなど、環境が大きく変わり、学習内容も難しくなっていくからだ。そのギャップをなくす試みとして、小中一貫教育も全国で模索されている。小学校と中学校の連携は、もっと進められていい。
全体的に見れば、不登校の数は横ばい傾向だ。不登校の小中学生は9年連続で、10万人を超えたままという現実は軽視できない。スクールカウンセラーの派遣などから始まった不登校対策は、この10年余りで出尽くした感さえある。とはいえ、成果を上げた取り組みに学ぶ点はまだ少なくない。
(2006年8月11日 読売新聞) |
| 年度間 |
小学校 |
中学校 |
合 計 |
| 平成
3(人) |
12,645 |
54,172 |
66,817 |
| 平成4 |
13,710 |
58,421 |
72,131 |
対前年度比
(%) |
8.4 |
7.8 |
8.0 |
| 平成5 |
14,769 |
60,039 |
74,808 |
| 対前年度比 |
7.7 |
2.8 |
3.7 |
| 平成6 |
15,786 |
61,663 |
77,449 |
| 対前年度比 |
6.9 |
2.7 |
3.5 |
| 平成7 |
16,569 |
65,022 |
81,591 |
| 対前年度比 |
5.0 |
5.4 |
5.3 |
| 平成8 |
19,498 |
74,853 |
94,351 |
| 対前年度比 |
17.7 |
15.1 |
15.6 |
| 平成9 |
20,765 |
84,701 |
105,466 |
| 対前年度比 |
6.5 |
13.2 |
11.8 |
| 平成10 |
26,017 |
101,675 |
127,692 |
| 対前年度比 |
25.3 |
20.0 |
21.1 |
| 平成11 |
26,047 |
104,180 |
130,227 |
| 対前年度比 |
0.1 |
2.5 |
2.0 |
| 平成12 |
26,373 |
107,913 |
134,286 |
| 対前年度比 |
1.3 |
3.6 |
3.1 |
| 平成13 |
26,511 |
112,211 |
138,722 |
| 対前年度比 |
0.5 |
4.0 |
3.3 |
| 平成14 |
25,869 |
105,383 |
131,252 |
| 対前年度比 |
-2.4 |
-6.1 |
-5.4 |
| 平成15 |
24,077 |
102,149 |
126,226 |
| 対前年度比 |
-6.9 |
-3.1 |
-3.8 |
| 平成16 |
23,318 |
100,040 |
123,358 |
| 対前年度比 |
-3.2 |
-2.1 |
-2.3 |
| 平成17 |
22,709 |
99,546 |
122,255 |
| 対前年度比 |
-2.6 |
-0.5 |
-0.9 |
|