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子どもたちの未来のために
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 学校に来ても教室に行かずに保健室で過ごす「保健室登校」を続ける公立高校の生徒の割合は、2006年度で1000人当たり2.8人となり、5年間で2倍に増えたことが、日本学校保健会による保健室の利用実態調査で明らかになった。

 公立小中学校でも保健室登校の割合が増加。こうした子どもたちの中には、友人関係の悩みなどを抱えているケースが多いという。

 文部科学省は「急病やけがの対応だけでなく、子どもの心の健康も支えるという点で保健室の役割はますます重要になっている」と指摘。その上で、養護教員の複数配置など保健室の態勢充実を求めているが、財政上の理由などで整備が進まない現実もある。

 調査は文科省の委託で約五年ごとに実施。今回は06年10月、公立の小中高校計約千百校を対象に利用実態を調べた。

 調査結果によると、01年度に高校で保健室登校していた生徒は1000人当たり1.4人だったのに対し、06年度は2.8人。中学校も5.6人から6.6人、小学校も1.2人から2.0人へとそれぞれ増加した。

 学年別で見ると、小中高校を通じて男女とも中三が最も多く、1000人当たりの割合は男子が4.6人、女子が12.9人。次いで男女共通して中2、中1の順となっており、中学校での対応が大きな課題になっている実態があらためて浮き彫りになった。

 性別で割合を比較すると、小1で男子が女子を上回った以外は、小2から高3までいずれの学年も女子の方が男子の2〜3倍だった。

 「保健室登校の子どもがいる」と回答した学校は、小学校は01年度から10.1ポイント上昇し44.5%と半数近くに達した。逆に中学校は10.7ポイント減って61.0%、高校はほぼ横ばいの50.6%で、低学年化の側面もうかがえた。

専門家ら“功罪”指摘

 保健室登校が増えている背景について、専門家は保健室が不登校対策の役割を担っていることを挙げる一方で、学校が不登校の子どもの数を少なく見せ掛けるため保健室に誘導しているという側面も指摘している。

 心理カウンセラーの内田良子さんは「保健室が受け皿になり、教室に入れない子どもも学校に通うことができる環境をつくり出している」と、学校の取り組みの結果と分析する。

 しかし「(保健室登校を認めることで)『学校に行かなければならない』というプレッシャーもある」とも指摘。「保健室ぐらいには通わせなければと考えるのではなく、子どもの状況に応じて一定期間、学校を休むことを認めるなど柔軟な対応が必要」と話す。

 高校生の保健室登校が倍増したことについて、教育評論家の尾木直樹法政大教授は「今の大学生が小学生だったころから、テストの点だけでなく意欲や関心、態度も評価対象になったことが影響」と分析。常に教員の顔色をうかがうことになり、教室にいることが心身の負担になっていると問題視する。

 数値目標を挙げ不登校減少を推進する教育行政の弊害も指摘。「保健室に通えば出席扱いにできるため、学校が不登校の子どもを保健室に誘導している側面もある。成果主義の下、数値の減少が校長の評価につながるからだ」としている。

<保健室登校> 登校した子どもが一日を保健室で過ごしたり、特定の授業以外は保健室にいたりする状態を指す。出席扱いにするかどうかは校長が判断するが、小中学校の場合は大半は出席と認めているとみられる。主に養護教員が保健室登校の子どもに心身の悩みの相談などを聞くほか、各教科の指導もしている。プライバシーに配慮して専用の部屋を設ける学校もあり、教室に行けないという子どもが不登校になるのを防ぐ有効な手段の一つにもなっている。

小中学生不登校全国12万2940人速報値
5年ぶりの増加中学生不登校1学級に1人過去最高に…
いじめ回避が一因か


 中学生の不登校の割合が昨年度、4年ぶりに増加した。不登校をめぐり、小学校と中学校のギャップを改めて考えたい。
 ◆カギ握る小中連携 “予備軍”把握、すばやく対応

 
文部科学省によると、昨年度に30日以上学校を休んだ不登校の小中学生は、約12万2000人だった。小学生は約2万2700人、中学生は約9万9500人となる。実数は4年連続で減ったが、少子化が続いているため、減るのはある意味で当然だ。
 全児童生徒数に対する不登校児の割合(出現率)で見ると、小学生は0・32%(317人に1人)で前年度と同率、中学生は2・75%(36人に1人)で0・02ポイント上がった。
 なぜ中学生の不登校の率が増加したのか。一概には言えないが、都道府県で増減にかなりの差がある。小学校から中学校に進学する際のギャップに注目し、中学生の不登校を大きく減らした大阪府の取り組みに、ヒントが隠されている。大阪府は、全都道府県で不登校児が最も多いが、中学生は8258人で、前年度より466人減った。
 その理由の一つとして、大阪府教委は、小学校での“予備軍”に注目したことを挙げる。中学校1年から不登校になる生徒の半分以上が、小学校時代から欠席が目立ったり、登校しても保健室で過ごす「保健室登校」をしたりと、不登校の兆候を見せていたからだ。統計に表れない子供たちにも目を向けたわけだ。
 こうした子供たちを中学校入学時に把握しておき、数日間欠席するなどの兆候が出たら、すぐにチームを組んで、どういう支援が必要かを検討する体制を取るようにする。府教委では、市町村教委を通して現場にこう指導した。
 さらに、不登校の多い中学校を対象にして、緊急対策事業として地域の人たちに「不登校支援協力員」を委嘱、家庭訪問などをしてもらった。こうしたきめ細かい対策が功を奏したと見られる。
 実は、小学校時代にすでに兆候が見られるという傾向は、国立教育政策研究所が3年前にまとめた「中1不登校生徒調査」ではっきり表れている。小学校で不登校傾向のある子は、中1の当初から欠席が目立ち、経験がない場合は、夏休み明けがカギを握るという結果が出たのだ。大阪府教委も、不登校対策を考える上で、この調査結果に注目したという。
 では、ほかの県でもなぜ、同じように成果が上がらないのか。この点について、府教委児童生徒支援課は「府教委から市町村教委、市町村教委から学校へと浸透させるには、かなり積極的な働きかけが必要だった」と振り返る。
 一方、大阪府とは対照的に、不登校児の数で今回、東京都を上回り、大阪府に次ぐ数となったのが神奈川県だ。中学校で327人増え、3・45%という出現率では、大阪府を上回った。
 「すべての中学校へのスクールカウンセラー配置を昨年度で終えたところなので、がく然としている。“中1ギャップ対策”や小中学校の連携に本腰を入れ、未然防止策を考えたい」と県教委児童生徒指導室。
 不登校はもともと、小学生から中学校になる段階で3倍前後になると言われる。学級担任制から教科担任制に変わるなど、環境が大きく変わり、学習内容も難しくなっていくからだ。そのギャップをなくす試みとして、小中一貫教育も全国で模索されている。小学校と中学校の連携は、もっと進められていい。
 全体的に見れば、不登校の数は横ばい傾向だ。不登校の小中学生は9年連続で、10万人を超えたままという現実は軽視できない。スクールカウンセラーの派遣などから始まった不登校対策は、この10年余りで出尽くした感さえある。とはいえ、成果を上げた取り組みに学ぶ点はまだ少なくない。
(2006年8月11日  読売新聞)
年度間 小学校 中学校 合 計
平成 3(人) 12,645 54,172 66,817
平成4 13,710 58,421 72,131
対前年度比
(%)
8.4 7.8 8.0
平成5 14,769 60,039 74,808
対前年度比 7.7 2.8 3.7
平成6 15,786 61,663 77,449
対前年度比 6.9 2.7 3.5
平成7 16,569 65,022 81,591
対前年度比 5.0 5.4 5.3
平成8 19,498 74,853 94,351
対前年度比 17.7 15.1 15.6
平成9 20,765 84,701 105,466
対前年度比 6.5 13.2 11.8
平成10 26,017 101,675 127,692
対前年度比 25.3 20.0 21.1
平成11 26,047 104,180 130,227
対前年度比 0.1 2.5 2.0
平成12 26,373 107,913 134,286
対前年度比 1.3 3.6 3.1
平成13 26,511 112,211 138,722
対前年度比 0.5 4.0 3.3
平成14 25,869 105,383 131,252
対前年度比 -2.4 -6.1 -5.4
平成15 24,077 102,149 126,226
対前年度比 -6.9 -3.1 -3.8
平成16 23,318 100,040 123,358
対前年度比 -3.2 -2.1 -2.3
平成17 22,709 99,546 122,255
対前年度比 -2.6 -0.5 -0.9


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